はらだたけひで
@pacheral2
絵本作家・ジョージア映画祭主宰/岩波ホールで長く世界の映画の紹介に携わる。絵本は「パシュラル先生」「フランチェスコ」「子どもの十字軍」他。「ジョージア映画全史」等、ジョージア関係の著作もある。2022年ジョージアより文化功労賞を授与される。ジョージア映画祭2024を全国で順次開催中。
昨年来の体調不良のために入院していた。身体から出てきた橙色の砂の塊を見て彼方の砂漠を思い浮かべ、愛読するサン=テグジュペリ「人間の土地」の最終章を開く。どの訳にも渾身の思いが注がれている。「各自の中にある虐殺されたモーツァルト」(堀口大學訳)という言葉の重さ。もうすぐ彼の命日。

この絵は「デドゥナの樹」。ジョージア映画「少女デドゥナ」に一瞬映った木の絵が忘れられず、ずっと心にあった風景を絵にしてみた。わかりづらいが色とりどりのビーズ玉を木に散らしている。これはルスタヴェリ駅で女性が売っていた「幸せの木」に触発された。──白い馬はこれからどこへ向かう?

ジョージア映画祭は、昨日、福岡市総合図書館が終了し、全国巡回は一段落いたしました。有り難うございました。この1年、ジョージアの政情は急激に悪化、心安まることなく、混迷のなかで、改めて文化=映画の重要性を痛感しています。引き続きどうぞよろしくお願いいたします。georgiafilmfes.jp
ジョージアの現政権に対する抗議大集会は昨年11月28日以来、連日行われて昨夜210日目を迎えました。
今年に入ってからジョージアに移住目的で来る人が増えているのを実感。いろいろな理由、目的があるだろうしその決断に口を挟むつもりはない。 またジョージア現与党政府の政治方針の是非は棚上げしても、野党党首たちを軒並み逮捕している強権体制であることは知っておいたほうがよいと思う。
今年99歳になるぼくの幼稚園のときの先生に、今、世界に1冊しかない絵本を作っている。世界は心折れることばかりだけど改めて思う。絵本の世界では失うものはない。不思議なことばかりで自由で平等。ここでは人とクマも仲よく暮らせる。きっとぼくの仕事は明日を夢みる心に奉仕することだと。




佐々木昭一郎さんが急逝して今日で1年。「ミンヨン 倍音の法則」(2014)が完成しても毎日のように連絡をくださり、我が家ではいつの間にか親戚のオジさんになっていた。病院に駆けつけた時、「たけちゃん」と呼んでくれたことが妙に嬉しかった。NHKBS4Kで来月、代表作が放送されるとのこと。よかった。

ジョージア映画祭は全国を巡回し、現在は福岡で開催中です。皆さんのご支援に深謝いたします。その間、ジョージアでは現政権とその抑圧に抵抗する人々の対立が続き、それは私にとっても辛い日々でした。改めて自由を求めるこの国の映画人の幸ある未来を願ってやみません。georgiafilmfes.jp
NHK右田千代さんの「隣人たちの戦争 前編」を観た。よかった。彼女の原点であるコソボ紛争後の知人たちの人生を追う。戦争が跋扈して人間が野獣と化すなかで、その実態と人間で在り続けようとする人物の苦悩を描いていた。NHKBS(再放送)5/23(金)前1:10~※5/22(木)深夜 (後編)5/23(金)後11:25~

40冊余りの私の手帖。岩波ホール時代の聞き書きの校正にしばし没頭していた。忘却の彼方から過去が蘇る。よい思い出は僅かで後悔と自責ばかり。走馬灯のように心に現れる髙野悦子や知人友人との日々。何かのお役に立つだろう。彼ら、彼女らの多くはもうこの世にはいない。人生、かくも長く、短きもの。

陶淵明の「桃花源記」。漁師は舟で理想郷に迷い込み、美しい村で人々に篤くもてなされ、帰郷するが、二度とその村には誰も辿り着くことが出来なかった。私にとってジョージアも同じかもしれない。今、世界は混乱の坩堝。ジョージアもその只中に。しかし私の美しいジョージアはいつまでも心の内にある。

個展が無事終了して1週間、御礼が遅れましたが、天候不順のなか、お越し下さった方々に心から感謝申し上げます。次に、数年前に企画された私の岩波ホール時代を語る仕事が控えています。記憶が薄れ、正直、怖じ気づきましたが、岩波ホールと髙野悦子の名が風化してゆくなか、お引き受けいたしました。

明28日(金)からの個展(吉祥寺gallery shell 102)に多くの絵を展示する。時代に対して何をどう表現するか。残された人生をどう生き抜くか。少しでも答えを見出せたらと願う。会期中は午後2時頃から夕方まで在廊の予定。井の頭公園の桜も見頃を迎えます。お立ち寄り下さい。shell102.com


大きな木のまわりで子どもたちが遊び戯れている。ウクライナ、パレスチナ、世界の子どもたち。絵の子どもたちは私の心のなかにいる。3か月かけてパノラマの絵にした。「‥静かな泉が鳴りひびいて、人間の存在の一つ一つが何ものによっても粉砕されない時が‥」(原民喜)shell102.com

生まれ育った武蔵野の雑木林は私にとってなくてはならない景色。しかし絵にしたことはなかった。思いたって6枚の小品を吉祥寺のgallery shell 102個展(今週28日~)のために描いたが、人より樹が主人公に思える絵になった。ケヤキ、コナラ、クヌギ、イヌシデ‥愛おしい。shell102.com

ジョージアからのXに反政権集会参加者の「自由は生命より尊い」という言葉があった。114日間も続く抗議集会に参加している人達の多くはその覚悟でいるのだろう。ジョージアは僅か2、3年で急速に専制政治が強まった。そしてアメリカも僅か2カ月で‥これは遠い国の話ではない。ぼくだったらどうするか。

現在、京都の出町座の他、札幌のシアター・キノで北海道初のジョージア映画祭が開催中。今週20日からの高崎映画祭でもジョージア映画祭を上映していただける。世界の喧噪の只中でコーカサスの小国の純粋な声に耳を傾けていただければ。21日に私もお話をさせていただく。takasakifilmfes.jp
騒音から離れ、自分の原点を探るように絵を描いている。蠟燭の焔、青空、樹への夢想‥バシュラールの本と出会って54年、「パシュラル先生」から36年。この絵本を28日からの展覧会のために描き直している。デジタルばかりの生活で「ものの大きさ」を忘れていたことに気づく。shell102.com

ジョージア各地の大規模な反政権集会は100日を迎えた。人々は新たな民主的選挙、独裁と弾圧の終焉、拘留された人達の釈放等を求めている。老若男女、様々な職業、階層の人たちが参加し、勇敢であり結束は固い。今後、米トランプ、EUの動きが少なからず影響を及ぼすだろう。写真L.Tvaliashvili
