余白の詩学

グウェン・ジョン《Cat Sleeping on a Red Cushion》

井上安治《霊岸島高橋の景》

木枯らしの夜は星たちは木の枝にかけたガラス屑のようにきらりきらりとゆらめき光る 新美南吉

川瀬巴水《大森海岸》

わたしでもなく わたしをうごかすものでもなく ふしぎなる両性のせかいの いちばんやわらかないちばんはじめの こころおどるいずみからものを云いたい　　八木重吉

フェリックス・ヴァロットン 《ヴァイオリン（楽器Ⅲ）》

うらを見せ おもてを見せて 散るもみじ 良寛

川瀬巴水。旅情詩人とも称され、雨や雪、月明かりや水辺など静かで抒情的な風景画を描いた日本の版画家。

酒井抱一《白蓮図》

クロード・モネ《ポール＝ヴィレのセーヌ川》

わたしは 星をいつくしんだことはすくない だのに このごろはすぎし日をおもうゆえに こよいは かの日 かの夜をおもうゆえに 星がうれしい 八木重吉

菱田春草《黒き猫》

ヴィルヘルム・ハンマースホイ《居間に射す陽光Ⅲ》　https://t.co/hawZ2c2udo

こんな世の中に心象スケッチなんというものを、大衆めあてで決して書いている次第でありません。全くさびしくてたまらず、美しいものがほしくてたまらず、ただ幾人かの完全な同感者から「あれはそうですね。」というようなことを、ぽつんと言われる位がまずのぞみというところです。 宮沢賢治

吉田博《雲表》

ヨハン・ローゼ《夜の波止場、ホールン》

弱いなりに死ぬまでやるのである。 夏目漱石

橋口五葉《京都三条大橋》

かなしみは しずかに たまってくる しみじみと そして なみなみと たまりたまってくる わたしの かなしみは ひそかに だが つよく 透きとおって ゆく 八木重吉

世界は割れていた。僕は探していた。何かをいつも探していたのだ。 原民喜