劉彦甫
@LIU_Yen_Fu
東洋経済新報社・東洋経済編集部員(台湾など東アジア、特集・連載担当)。2024年9月まで解説部記者(台湾・東アジア国際関係、マクロ経済)。日本台湾教育支援研究者ネットワーク(SNET台湾)特別研究員。早稲田大学台湾研究所招聘研究員。ピアノや旅行、映画・アニメが好き。過去の執筆記事は下記リンク先の著者ページに。
【ご報告】本日付で解説部記者から東洋経済編集部員に異動しました。解説部ではマクロ経済や台湾など国際政治を担当しましたが、今後は編集部で東アジアのほか『週刊東洋経済』の特集や連載の編集・企画を担当します。直接記事を書く機会が減るとは思いますが引き続きご指導ご鞭撻のほどお願いします。
【「毎週約100本以上」のアニメを視聴するコラムニストが厳選!《鬼滅の刃》で盛り上がるこの夏に見たい!社会人のための「入門編10作」を紹介】 #東洋経済オンライン toyokeizai.net/articles/-/893…
民進党の林右昌秘書長は、リコール運動は市民運動によるからと「政党間の対決でなく、政党同士の勝負に単純化してはならない」と語った。党として全面的に支援して、総統までリコール運動の支持を示していた以上、何を言っているんだと反対派から言われる姿勢で、民進党の問題を示す事例のひとつだ。
まもなく事実上の敗者の弁が民進党の幹部らから発されますが、その時に猛省している姿勢を示せるか、逆に言い訳がましいことを言ったり、他責思考な物言いをするかはこの結果を受けて最初の焦点となるでしょう。8月に7名のリコール投票がまだありますが、この結果で勢いは続かない可能性が高いです。
リコールは全24選挙区で否決される「完封」という予想外の結果に。運動を支援した民進党にとっては大打撃です。 記事にまとめました。 野党立法委員のリコール、住民投票で否決 頼政権さらに窮地 mainichi.jp/articles/20250…
台湾で国民党立法委員を対象にしたリコール投票が進んでいます。台風の影響が予想されましたが、台北など北部は曇り空。 午後4時(日本時間5時)に投票が締め切られると、すぐに開票所に模様替えして開票作業に入ります。 →
この点で構図や雰囲気が近いのは2022年11月に行われて民進党が大敗した統一地方選挙である。当時も民進党側は対中姿勢を争点化しようとしたが、台湾市民は地方選挙でもあることから民進党にお灸を据える判断を下した。傲慢な政権与党に概して台湾市民は厳しい。民進党は再び世論を見誤ったといえる。
台湾での野党議員へのリコール投票はすべて不成立に。中央社の下記の報道でも「『親中派』とされる」という記載があるので、リコール賛成派や民進党側が争点化しようとした対中関係をめぐる是非が問われて、それが否決されたかに見えるが、それよりも民進党やその支持者への嫌悪感が響いたといえる。
台湾での野党議員へのリコール投票はすべて不成立に。中央社の下記の報道でも「『親中派』とされる」という記載があるので、リコール賛成派や民進党側が争点化しようとした対中関係をめぐる是非が問われて、それが否決されたかに見えるが、それよりも民進党やその支持者への嫌悪感が響いたといえる。
確かに民進党はリベラル政党ではありますが、台湾ナショナリズム政党でもあります。日本でもですがリベラルは自分たちが正しいと思うもの以外は間違いだとみなしがちで、ナショナリズムの要素が加わるとかなりの排他性も帯びます。それが党派対立が強まる中で目立ち、中間層の嫌気を招いたと言えます。
民進党は多様性を尊重するリベラル政党のイメージが強い。オードリー・タン氏を登用したのも民進党政権だった。 しかしながら長期政権で、強権化が進んだのか?
まもなく事実上の敗者の弁が民進党の幹部らから発されますが、その時に猛省している姿勢を示せるか、逆に言い訳がましいことを言ったり、他責思考な物言いをするかはこの結果を受けて最初の焦点となるでしょう。8月に7名のリコール投票がまだありますが、この結果で勢いは続かない可能性が高いです。
日本ではどうしても対中姿勢だけで台湾政治を見がちなので、あまり知られていませんが、頼清徳総統や民進党が強権化しているとの見方は台湾社会でそれなりにあり、現に支持者以外に対する偏狭で攻撃的な主張も時になされることから、政権を牽制する勢力は必要との考えが強くあります。
リコール賛成派と民進党は国民党議員が親中的だとして、台湾を中国から守るという点を焦点に選挙活動を展開していましたが、有権者は必ずしもそれに流れないで対中姿勢を投票の判断基準にはせず、内政上の政権や民進党の(傲慢に見える)振る舞いや今回のリコールというやり方の是非も意識しています。
なお、本日配信した記事でも書きましたが、社会全体の雰囲気はリコールに絶対賛成するという感じではありません。長期政権となっている民進党による権力闘争の色彩も強く、同党も強硬的な姿勢が続いており、それへの嫌悪感も国民党に対する反感と同様に中間層では強いためです。
なお、本日配信した記事でも書きましたが、社会全体の雰囲気はリコールに絶対賛成するという感じではありません。長期政権となっている民進党による権力闘争の色彩も強く、同党も強硬的な姿勢が続いており、それへの嫌悪感も国民党に対する反感と同様に中間層では強いためです。
野党・国民党議員24名の解職の是非を問うリコール投票、成立条件は同意(賛成)票が不同意(反対)票を上回り、かつ同意票がその選挙区の総有権者の25%以上あることです。与党・民進党がリコール後の補選で勝利して議会で過半数を回復するためには、まず最低でも6人のリコールを成立させる必要があります。