J for jazz
@Jforjazz176064
Jazz is my gospel.
ミンガスの頂点かと。理由は、エリントンに最も近付いたから。バレエになった組曲風なのだが、11ピースをいかに意のままに、美しく統率するかという課題で、常に念頭にあったのはエリントンだった。力づくで猥雑、黒光りする音群は、日本の白黒サスペンス映画のサントラにもそのまま使用できる。#jazz

格別の品格がある。キング牧師暗殺の年、モンクのファンだった高校生が、全米分断を懸念し、単独モンクへ働きかけて実現したライヴ盤だからだ。学校の用務員が録音、鑑賞用にいじられた音ではない。変人モンクが、少年の意気に感じ、カリフォルニアで脂の乗った極上の演奏を残した事実が尊い。 #jazz

巧いねえ。ベーブルース二世が、日本の大谷翔平である様に、ディジーがキューバで蒔いた種がサンドヴァルだ。名門イラケレを辞し米国へ亡命。本作は、本場でジャズの腕試しの夢が叶った作品。キューバで純粋培養された腕前は、ラテン風味を封印しても、個性的かつ脅威の音圧とテクで煙に巻く。#jazz

やはり最後は回帰か、マイルスのように。ドンチェリーが4ビートとはね。オーネットとはフリー、自らはエスニックへとジャズの領域を広げた。放蕩息子のご帰還。盟友ヒギンスとヘイデンに護られ、拍子抜けする脱力ぶりで捌く。先鋭化したチェリーとは裏腹だ。彼の底知れぬ深さを感じた一枚だ。#jazz

ジャズは、叙事詩であると本作は語る。薬禍から復活したが、後期ペッパーは、アジる必要のない老革命家のように、威厳は保った。溌剌とした昔とは比較にならないが、昔の仲間と演奏を楽しみ、一瞬に生きる覚悟が漂わせた。成功も失敗も泡沫の夢。ジャズと生きる事とは、そういうものなのだろう。#jazz

真摯な響きは必ず耳に届く。大西順子のデビュー作には、自分の音を出し切る矜持があった。自らを鼓舞する姿勢は求道者然とし、男よりも男前だった。だがそのピアノは、むせ返るほどの官能と流麗な音粒で満たされた。表題通り、いきなり現れたこの新進気鋭に対する我々の反応は、確かにWowだった。#jazz

侮るなかれ。元来自分はジャズドラマーと自負するストーンズのCワッツが、長年の夢を果たした夢の録音だ。堅実でブラシの冴えやリズムキープも堂々たるもの。まるで同好の士の晴れ舞台を見るようで微笑んでしまう。彼のジャズ愛に共鳴した仲間が多く、ビッグバンドになった逸話もワッツらしい。#jazz

ハービーに新スタンダード集と云われると、そば耳を立ててしまうが、有名曲は一握り。むしろ、彼が色々なフィールドから印象的な曲を拾って魔改造するという、アレンジ力を聴く一枚だ。原曲を後追いするという逆流現象も起きた。腕利きで何でもできるバック陣で固めた、実は算盤づくの作品だ。#jazz

〝歌い手マイルス“が確立された晩年の到達点。バンド作りに誰よりも拘ってきた彼が、その呪縛から解かれて、マーカスミラーのプロデュースに乗り、遺憾無くトランペットで歌う。表題曲のカッコ良さは、かつての「死刑台のエレベーター」に匹敵する。ジャズと呼ぶか否かを論ずるのは野暮だろう。#jazz

ソロピアノの金字塔。当時ジャズ喫茶では「ケルンお断り」の貼り紙も出た。人気の理由はひたすらに美しく、制約から解き放たれたこと。当時キースは背中が痛く、当日のベーゼンドルファーの状態は最悪。だが企画した17歳の女学生バイトの献身が、キースの心に火を付ける。音楽神の御業だろう。#jazz

逆という話。ナベサダは本作が初リーダー作で、その後米バークリー音大へ留学。普通、留学後に凱旋録音でしょ。ジャズの隠語は逆さ文字なので、当初彼はサダナベと呼ばれてた。また全米デビューの際、日本からの輸入盤が販売された。達人は左様に規格外。演奏も勿論、新人としては白眉だった。#jazz

後ろ髪引かれる盤だ。トレーンの黄金カルテットの終焉、そしてフリーへ。その過渡期だ。出家して仏門に入る武芸者のように、とうに覚悟を決めたトレーンがいる。ボブシールの顔を立て有名曲を配すも、チムチムチェリーは、実質テーマを借りただけ。名バンドが終わって欲しくない感情だけが残る。#jazz

ブラッドメルドーがやっているのは、ピアニズムの書き換えだ。キース以降、初めてジャズピアノの変革者を見た。圧倒的な説得力と知見、正確な運指、斬新なアプローチは、目下他の追従を許さぬレベチの域で、上質な推理小説を読み進める感覚。スタンダードを出汁に使い、知性の薫風が匂い立つ。 #jazz

そろそろエヴァンスを、アコースティック・オンリーから解放してやる時では?後期ではエレピも併用していたが、どうしても馴染めずにいた。だが時薬で、いま聴くとカルテットにも聴こえるようになった。時代の変遷🟰荒波と捉えがちだが、先入観を優しく洗い流してくれる側面もある。#jazz

フュージョン版オールスターゲーム。黎明期のフュージョンのトップが揃った。集めたCTIもえげつないが、よくもまあ節操なく集まったね。無論、とてもではないが纏まるの無理であり、必然的にソロ回しになるが、このジャンル、混ざるだけでは実態が分からず、比較も必要だったということだろう。#jazz

ジャコの「ドナ・リー」で人生が変わった人はかなりいると思う。よりによってCパーカーの曲であるところがミソで、天才同士の比較が必然的に行われたと同時に、これがエレベの演奏であるという歴然たる事実が、皆の頭の中をバグらせた。不世出の鬼才。こんなヤツ二度と出てこないだろうな。#jazz

スタジオ上がり風情との評論家の評価を一変させた衝撃作。聴衆が既にギター世代で、その音色やスピードに慣れた耳に、ブレッカーは巧みなフィンガリングや省略コード等を駆使し、バカテクをポップに包んだ音で、彼らを見事に納得させたテナーだった。57歳の病死とは、いくら何でも早すぎるよ。#jazz

時代の最も先端ではないが、リードしている印象を与え、リスナーが受容し易い音楽の魅せ方を知るのがハービーだ。ヘッドハンターズのヒットは、ジャズのエレクトロ化はこうやるんだという指針、古い曲も焼き直してファンを置き去りにしない姿勢などが顕在化したもの。今も色褪せない輝きがある。#jazz

不思議なことだが、名盤請負人マックスローチを模倣するドラマーは少ない。過去エルヴィンやトニー、ブレイキーもどきは、度々現れたが。思うに、彼こそが唯一無二の存在なのではないか。本作のように、ドラムスという楽器がいかに豊穣な世界観を持っているかを、端的に証明できる盤は他にない。#jazz

歴史は繰り返す。ディジーガレスピーが、アフロキューバンの風を取り込み、モダンジャズに喝を入れたように、チックはモダンラテンを取り込んだ。語彙として、まだフュージョンというよりクロスオーバーのニュアンスが強いが、ジャズは音楽複合体である事を証明した。新鮮かつ大胆な名盤である。#jazz
